戸建てに使われ始めたスパンドレルの塗装は必要?
外壁の素材で、「スパンドレル」というものがあるのをご存知でしょうか。
スパンドレルは金属製の外壁材で、メンテナンスフリーの素材として期待されています。
戸建て住宅ではあまり使われない素材のため、聞きなれない方もいらっしゃるでしょう。
スパンドレルは、見た目がシャープでスタイリッシュな印象があり、最近のブームであるモダンデザインの住宅で採用されるようになってきました。
同じ金属製の素材として金属製サイディングがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本当にメンテナンスが不要なのでしょうか。
スパンドレルの特徴やメンテナンス方法について、詳しく見ていきましょう。
目次
- スパンドレルとは
- スパンドレルの特徴
- 金属系サイディングとの違い
- スパンドレルの寿命と劣化
- スパンドレルに塗装は可能?
- スパンドレルのメンテナンス
- スパンドレルへの塗装を成功させるポイント
- スパンドレルの塗装も辻塗装にお任せください
スパンドレルとは
スパンドレルとは建材のひとつで、金属でできた化粧板のことを言います。
外壁や天井材で使われることが多く、商業施設やビルなど耐久性を求められる場所で採用されています。
スパンドレルの素材は、主流のアルミニウムスパンドレルの他に、鋼板スパンドレルなどがあります。
アルミスパンドレルは、非常に軽量でリーズナブルなのがメリットです。
種類や形状が豊富で、加工せずそのまま施工できることから、仕上げ材としてよく使われています。
アルミスパンドレルの中には、木目調のデザインの物もあります。
素材はアルミニウムですが、表面に塩化ビニールシートを施し、木目調の模様が付けられています。
一般的なアルミスパンドレルは直線的でクールなデザインになりがちですが、木目調を施すことで意匠性が高まります。
鋼板スパンドレルには、カラー鋼板、ガルバリウム鋼板、フッ素系鋼板があります。
カラー鋼板は比較的価格が低めで、色の種類が豊富なことが魅力です。
ただ、腐食しやすいため外壁材にはあまり使われません。
ガルバリウム鋼板は、鉄(鋼板)芯材を錆びにくくするために、合金(亜鉛、アルミ、シリコン)でメッキして保護したものです。
錆びが出にくく、耐用年数が長いのが特徴です。
フッ素系鋼板は、表面にフッ素樹脂が塗布されているため、耐候性・耐水性にすぐれています。
また、退色しにくいというメリットもあります。
外壁用のスパンドレルは、裏に断熱材が張られているものもあります。
金属製の外壁材には、音が響きやすい、熱を伝えやすい、といったデメリットがありますが、断熱材を張ることでそれらのデメリットを解消しています。
現在の外壁材の主流となっている窯業系サイディングと比較すると、スパンドレルは高価です。
しかし、窯業系サイディングは定期的な再塗装が欠かせない素材のため、維持費がかかります。
一方、スパンドレルはメンテナンスに手がかからないため、定期的なメンテナンス費用を抑えることができます。
スパンドレルの特徴
スパンドレルは軽量なので、外壁リフォームの重ね張り素材として多く採用されています。
重ね張り施工は、古い外壁の外側に新しい外壁を構築するため、外壁が二重になり、建物に荷重がかかります。
そのため、スパンドレルを使用することで軽量化させ、建物の負担を軽減させるのです。
また、施工性が高く加工が容易なこと、耐熱性が高く日射熱で高温になりがちな外壁に適していることも、スパンドレルの特徴と言えるでしょう。
金属製のスパンドレルは、廃棄の際に鉄くずとして処分できるため、再利用も可能です。
ただし、裏に断熱材が張られているものは断熱材を分離しないと、鉄くずとして処分できません。
この場合、分別する作業が必要になってしまうので注意が必要です。
金属系サイディングとの違い
スパンドレルとよく似たものに、金属系サイディングがあります。
金属系サイディングの素材は、ガルバリウム鋼板が主流です。
スパンドレルと金属系サイディングでは、次のような違いがあります。
形状
スパンドレルはサイディングと同様、工場で生産されたものを現場で張り合わせて施工します。
スパンドレルは、1枚1枚の幅が10cmと細長い形状をしています。
長さは、施工箇所に合わせてカットされています。
一方サイディングは、幅40cm、長さ4m程度です。
また、サイディングに比べてスパンドレルには厚みがあります。
一般的な金属系サイディングの厚みが0.27mm程度なのに対して、スパンドレルの厚みは0.35〜0.5mm程度です。
厚みがあることで、耐久性が高まり凹みにくくなりますが、重さが増した分だけ金額も高くなります。
施工方法
サイディングはネジで下地に取り付けて、サイディングとサイディングの継ぎ目をシーリングで埋めます。
一方スパンドレルは、ネジで下地に取り付けますが、断面の形状が複雑なため、ネジが表面からは見えないようになっています。
また、シーリングで継ぎ目を埋める必要がありません。
メンテナンス
サイディングの場合、シーリング部分が紫外線や温度変化によって劣化しやすく、耐用年数が10年程度のため、定期的なシーリングの張り替えが必要です。
万が一シーリングが切れてしまうと、隙間から雨漏りが起きてしまう可能性があります。
一方スパンドレルはシーリングがないため、その心配はありません。
金属面のメンテナンスにどちらも大きな違いはありませんが、金属系サイディングの場合はネジが表面に出ているため、ネジからの錆びに注意が必要です。
スパンドレルの寿命と劣化
金属製のスパンドレルは、錆びに注意しなくてはなりません。
耐用年数が長く耐久性が高い素材とはいえ、錆びが起きてしまうとそこから穴が開いてしまいます。
外壁に穴が開くと雨漏りの原因となってしまうため、錆びには早急な対処が必要です。
錆びが起きなければ、スパンドレルの寿命は40〜50年と言われています。
スパンドレルの主流である素材は、アルミニウムとガルバリウム鋼板です。
どちらも金属の中では比較的錆びに強いものの、まったく錆びが起きないわけではありません。
外壁材に使われているアルミニウムは、純度によって違いがあります。
純度が100%に近いほど錆びが起きにくくなりますが、多くのアルミニウム鋼板は強度を出すためにアルミ以外の金属を混ぜており、錆びが出やすくなっています。
また、金属全般に言えることですが、塩分によって穴が開いてしまうことがあります。
特に海沿いの地域では、錆びが起きやすい傾向があります。
さらに、風で飛んでくる粉塵にも注意が必要です。
木片や落ち葉、工場からの煙、車の排気ガスなどの細かい粉塵には、金属を腐食させる物質が含まれています。
しかし、外壁に付着する粉塵の多くは、雨で流されることで取り除かれますが、雨の当たりにくい場所では粉塵が滞留してしまうので、錆びが発生しやすくなります。
その他にも、もらい錆びは注意が必要です。
他の金属と触れることで、電食作用が発生し、錆びが進んでしまいます。
もらい錆びは、釘やアンテナの配線などに触れてしまうケースでよく見られます。
しかし、このような錆びに対して適切にメンテナンスを行うことで、スパンドレルは寿命まで長持ちさせることができます。
スパンドレルに塗装は可能?
窯業系サイディングをはじめ、多くの外壁材は、表面を保護するために塗装が施されています。
塗装で形成された塗膜は、紫外線や風雨の刺激で経年劣化するため、10年程度を目安に再塗装をしなくてはなりません。
もちろん窯業系サイディングと同様に、スパンドレルの外壁にも塗装をすることは可能です。
しかし、スパンドレルは表面のメッキの耐久性が高く、錆びが出にくいようにツルツルしています。
そのために塗装が付きにくいので、素材に適した塗り方をしなくてはなりません。
スパンドレルの特性を知り、金属専用の塗料を使うことで塗装をすることができます。
耐久性が高いスパンドレルは、窯業系サイディングのように、必ず塗装をしないと不具合を引き起こしてしまうことはありません。
また、表面に損傷が見られない限り、塗装をせずに使い続けることもできます。
もし錆びが出てしまった時には、塗装をして表面を保護するといいでしょう。
外壁は、紫外線や風雨など、多くの刺激にさらされて過酷な状況にあります。
刺激から守るためにも、定期的な塗装がおすすめです。
スパンドレルのメンテナンス
「スパンドレルはメンテナンスフリー」と聞いた方もいらっしゃるかもしれませんが、まったく何もしなくて良いというわけではありません。
錆びに対処するためにも、定期的なチェックは必要です。
劣化状況を適宜確認し、必要に応じて補修をします。
症状別に適切なメンテナンス方法があります。
白錆び、チョーキング現象
紫外線や粉塵などの刺激で、白錆びが起きる場合や、塗膜が色褪せて粉化するチョーキング現象が起きてしまうことがあります。
外壁全体の白錆びやチョーキング現象に対しては、塗装をして補修するのがベストでしょう。
塗装前の下処理で、白錆びはサンダーを使って綺麗に取り除きます。
粉化した古い塗膜も除去した後、防錆処理を施して塗装します。
白錆びなどを防ぐためには、定期的な洗浄作業も有効です。
全体の細かい汚れを洗い落とすことで、錆びの原因を取り除くことができます。
半年に1回程度の洗浄作業がおすすめです。
ただし強い刺激を与えてしまうと、表面に傷がついてしまい錆びや塗膜の劣化を引き起こしてしまいます。
また、洗剤が表面に残ってしまうと塗膜が破壊される原因になりますので、しっかりと洗い流す必要があります。
赤錆び、傷
部分的に起きている赤錆びは、研磨紙やワイヤーブラシを使って、手作業で錆びを落とします。
錆び落としをすると周囲に鉄粉が付着しますので、洗浄をしてしっかりと乾燥させます。
その上で錆び止めの処置をして、必要であれば塗装をします。
傷が生じてしまった場合も、放置すると錆びが起きてしまうので、同様に錆び止め処置をします。
ヘコミ
鉄は衝撃に弱く、物が当たってしまうとヘコミを生じることがあります。
へこんだ箇所の塗装が剥がれて錆びが出たり、水がたまって錆びが出たりするので、ヘコミが生じた部分を補修をします。
部分的に外壁を張り替えるのは材料費、施工費がかかるので、へこんだ箇所だけを補修する方法が主流です。
ヘコミの箇所はパテを充填して形を整えた後、表面の塗装をして周囲となじませます。
スパンドレルへの塗装を成功させるポイント
スパンドレルへ塗装をする際には次のような点に注意すると良いでしょう。
目荒らしをする
金属は、表面が滑らかなため、そのままでは塗料が付きづらい状態です。
そのため、「目荒らし」という工程を行い、表面をザラザラの状態にして、塗料が付きやすくなるよう加工します。
特にアルミ素材、表面にフッ素加工がされている素材は塗料が付きづらいので、電動サンダーを使ってしっかりと目荒らしをします。
専用塗料を使用する
スパンドレルへの塗装は、塗料も金属専用のものを用います。
スパンドレルにおすすめの塗料は、アクリルシリコン樹脂系塗料とフッ素樹脂系塗料があります。
アクリルシリコン樹脂系の塗料は、防汚性が高いという特徴があります。
高機能ながら比較的安価のため、コストパフォーマンスが良いのがメリットです。
フッ素樹脂系塗料は、防汚性が高く耐久性も高い塗料です。
無機質で、塗膜の表面がガラスのような状態になります。
比較的高価ですが、耐久性が高く長持ちするため、長期的に見るとメンテナンス費用を抑えることができます。
また、金属への密着度を高めるために重要なのは、塗装工程の下塗り塗料です。
防錆効果があり金属に対応した下塗り剤を選択することが、成功へのポイントです。
仕上がりがよいのは吹付け塗装
スパンドレルは、ローラーや刷毛を使った塗装も可能ですが、表面に深い凹凸がある形状をしているため、吹付け塗装の方が綺麗に仕上がります。
吹付け塗装の際には塗料が飛び散ることが多いので、しっかりと養生をします。
ただ、飛び散ってしまう分、塗料が多めに必要となります。
スパンドレルの塗装も辻塗装にお任せください
スパンドレルは、金属製の外壁材です。
そのスタイリッシュでクールな雰囲気が、最近のモダンデザインブームの中で人気が出ています。
スパンドレルは耐久性が高く、塗装をしない状態でも比較的長持ちします。
しかし、錆びが出て放置してしまうと、穴が開いて雨漏りの原因となりかねません。
定期的なチェックをして、不具合がないか確認すると良いでしょう。
全体に白錆びが出てしまっている場合や既存の塗膜が劣化している場合には、再塗装をオススメします。
スパンドレルへの塗装は専門の知識が必要ですので、塗装を安心して任せられる経験豊富な業者を探すことが成功への近道です。
もし、福岡近郊で外壁塗装をご検討中なら、私達辻塗装までご相談ください。
辻塗装は、福岡県知事の許可を受けている、信頼性の高い塗装専門店です。
40年間培ってきた知識と経験で、通常の住宅の塗装はもちろん、スパンドレルのような施工事例の少ない外壁にも対応できます。
完全自社施工で、高品質な外壁塗装をご提供いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。