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外壁塗装の劣化症状とメンテナンスのための基礎知識

写真:外壁塗装劣化

住まいの寿命は、建物の屋根や外壁塗装のメンテナンスで決まると言われています。
マイホームを新築してしばらく経つと、どのくらいの頻度で、どのようなメンテナンスをすれば良いのか気になる人も増えてくるのではないでしょうか。

外壁塗装は決して安いものではなく、1回あたり100万円ほどかかると聞くと、なかなか踏み切れないこともあるかもしれません。
しかし、外壁塗装のタイミングを逃すと住宅の耐久年数が短くなり、構造的な傷みがひどくなると補修費用がさらにかさむことになってしまいます。

そこでここでは、外壁塗装の基本的な考え方や、劣化症状、外壁素材に即した補修などの対処方法について説明していきましょう。

目次

  • 外壁塗装と建物の耐用年数

    外壁塗装の劣化は、住宅の耐用年数を大きく左右します。
    劣化の進み具合は、年月の経過でおこる経年劣化の他に、地震や天候、建材の特性など、様々な要因が関係してきます。
    外壁塗装の劣化の要因と、一般的な建物の耐用年数、そして塗料により異なる耐久性について見てみましょう。

    外壁塗装の劣化の要因

    コンクリートやモルタル壁などの外壁素材は、自然環境の中で、熱や紫外線、風雨などの自然環境の影響を受けます。
    外壁塗装の塗膜は、酸性の雨に当たると表面が劣化していきます。 また、地震や浸水などの災害に合えば、亀裂や腐食などの問題も発生しがちです。
    外壁の劣化としては、外壁材であるサイディングボードの劣化や、ボードをつなぐ目地の部分のコーキングの劣化が考えられます。
    サイディングボードや目地材などの外壁の素材は、紫外線、熱によって劣化して行きます。 さらに、台風や強風で外壁に雨や砂などが激しく打ちつけられると、表面の塗膜が剥がれてしまう劣化症状がみられます
    外壁塗装の劣化が進むと、防水機能が失われて、雨水が外壁の内部まで入ってくるため、建物の基礎の部分まで腐食させてしまう原因になります。

    建物の耐用年数と経年劣化

    建物などの不動産は、年月の経過と共に価値が下がるため、法律で減価償却が認められており、建物の種類によって耐用年数が定められています。

    建物の種類 耐用年数 備考
    木造 22年
    金属造 22年から38年 金属の厚さによって3㎜以下、4mm以上で異なる
    レンガ造・石造・ブロック造 30年
    鉄骨鉄筋・鉄筋コンクリート 47年

     

    これは、建物の寿命を知る大体の目安ですが、耐用年数を迎えたからダメになるものでもありません。
    建造物はメンテナンスの仕方により、耐用年数は大きく異なってきます。
    特に、外壁の建材や塗料の品質、下地素材によっても、建物の寿命は大きく左右されます。

    塗料の種類と耐久年数

    塗料の種類もさまざまで、耐久年数や価格が異なります。
    どの塗料を補修工事で使うかで、建物の寿命も変わってきます。

    アクリル 5〜7年 安いが耐久性が低いため、現在では住宅にあまり使われていない
    ウレタン 8〜10年 安いため従来は主流だった
    シリコン樹脂塗料 10〜15年 近年の日本の住宅で主流になっている
    フッ素 12〜15年 耐久性はあるが値段が高い
    ガイナ等の遮熱系 14〜20年 耐久性はあるが値段が高い

     

    近年では、ウレタンにするかシリコンにするかの選択肢が多いようです。
    シリコン樹脂塗料もシリコン含有量により耐久年数が異なってくるため、上記は目安として、実際に目視で劣化の症状を確かめる必要があります。

    外壁の劣化症状の種類

    外壁塗装の劣化は、家の材質や住居の環境、天候によっても大きく異なってきます。
    そして、劣化症状の多くは自己診断で確認できるものです。
    外壁の特徴的な劣化の症状には、色あせや変色、チョーキング、ヒビ割れ、藻やコケの繁殖などが挙げられます。
    家を長持ちさせるには、外壁塗装の典型的な劣化症状を知り、劣化の兆候を早めに見つけて補修の計画を立てることが必要です。

    外壁のツヤ引け・色あせ・変色

    外壁を外部から守ってくれる塗料は、長期にわたり紫外線や熱にさらされると、ツヤがなくなり、塗料の中の顔料が浮き出て変色していきます。
    光沢がなくなるのは、外壁を守る塗膜の樹脂が劣化してきているためで、日光が顔料に直接影響するため、色あせや変色が起こるのです。

    直射日光の当たるところと当たらないところを比べながら、外壁の塗料が色あせしていないか、黄色に変色していないか、色むらがないかを確認しましょう。

    ひび割れの種類

    地震の影響だけでなく、交通量の多い道路に面した建物の壁にも、振動の影響によるひび割れがみられます。

    ひび割れは、0.3mm以下を「ヘアークラック」、それ以上を「構造クラック」と言います。
    下地素材からひび割れる「構造クラック」を放置すると、雨漏りや建物の倒壊などにつながるのでとても危険です。

    外壁のボードの目地のヒビ割れ

    これは、サイドボートのところで詳しく説明するコーキングの劣化です。
    目地部分にヒビが入っていたり、剥離したりしていると、外壁補修を始めるサインとなります。
    外壁ボードの端の反り返りや浮きは危険信号です。

    コケや藻の付着とサビの発生

    外壁の塗膜が劣化して防水効果が弱くなると、外壁材に雨水が浸透して藻やコケが発生します。
    また、藻を栄養分として黒カビが繁殖したり、大気汚染物質が付着したりすることもあり、金属部分にサビも発生します。

    コケ・藻・サビは、湿度の高い建物の北側や風通しの悪い場所、池や田んぼの近くで発生しやすく、外壁の劣化を早める原因となります。

    コンクリートの亀裂や剥離

    鉄筋コンクリートの家の場合は、クラックにより建物の内部に雨水が入り、鉄筋が腐食してコンクリートが剥がれてしまうことがあります。
    コンクリートが剥離していなくても、1mmを超える亀裂がある場合は、下地や構造部分に影響している可能性があります。
    上部のコンクリートが剥離して落下してくる危険もあり、すぐにでも補修工事が必要です。

    劣化症状の進行過程

    劣化症状の進行度合いは、外壁や塗料、下地素材により異なります。
    そして、年月の経過とともに、徐々に劣化症状が目立つようになってきます。

    5〜7年 外壁のツヤがなくなり、直射日光の当たる部分に、色あせ・変色の症状が出て、チョーキング現象が始まる
    8〜10年 風通しの悪い日陰部分に、藻・苔・黒カビなどの汚れができ始める
    10〜15年 日当たりの良い部分にも、チョーキングや藻・カビ・汚れが発生し、クラックなどのヒビ割れができる
    15〜20年 変色・チョーキング・藻・カビ・クラックなどの症状が、外壁全体でみられ、目地や壁材の剥離(はくり)がおきている

     

    外壁の剥離や欠損は、建物の下地や外壁内部に影響を与え、補修工事もかなり大掛かりになります。
    そのため、構造クラックなど、劣化症状がひどくなる前に対応策を講じることが大切です。
    劣化症状を早めに見つけて、こまめに補修工事をしていくことで、住まいの寿命を格段と伸ばすことができます。

    外壁素材と劣化症状

    写真:サイディングボード

    外壁は、施工の仕方や材質によって、いろいろなタイプに分けることができます。
    大きく分けて、塗り壁やタイル張りの「湿式(しっしき)」と、パネル張りの「乾式(かんしき)」があり、それぞれ耐久性が異なります。

    外壁素材の「湿式」と「乾式」の違い

    湿式とは、主にモルタルなどを壁に塗って外壁を作る方法です。
    現場で壁を塗るため、施工に技術と時間がかかり、職人によっても仕上がりに差が出てきます。
    また、ひび割れなどの劣化が速く、放置しておくと壁がはがれるなどの剥離がおきてしまいます。

    一方、乾式は、一定サイズのセメントや金属などでできた板を、壁面に貼って外壁を作る方法です。
    工場で生産されたボードを現地ではっていくため、品質が安定していて、施工が速いというメリットがあります。

    施工方式 外壁の種類 特徴
    湿式(しっしき) 塗り壁・タイル張り 職人技術が必要で、劣化しやすい
    乾式(かんしき) 窯業系サイディング 日本で最も普及している
    金属系サイディング 価格が高いが耐久性がある
    木質系サイディング 木材の自然な素材が人気
    樹脂系サイディング 米国では住宅への普及率が高い

     

    建築用語では、板状にした外壁素材のサイディングボードのことを「サイディング」と呼んでいます。
    サイディングは、価格や工事費を安くできるため急速に普及し、今では、戸建住宅の約7〜8割が外壁にサイディングを使うようになりました。

    サイディングの種類で異なる耐久性の違いと劣化症状

    サイディングは、塗り壁に比べて耐水性や耐天候性に優れ、種類やデザインも豊富ですが、素材によって耐久性は異なってきます。

    サイディングの種類と耐久性

    サイディングボードには、窯業系、金属系、木質系、樹脂系サイディングなどの種類があります。

    窯業(ようぎょう)とは、陶器やレンガ、セメント作りのように、窯で、土や砂を高熱処理することを言います。
    窯業系サイディングは、工場の窯で土や砂などの素材を高熱処理し、板状に成形してサイディングボードを作ります。
    窯業系サイディングには、タイル調や石垣調、レンガ風などの豊富なデザインがあり、汚れにくく耐火性にも優れていて、現在日本で最も普及しています。

    また、金属で作られたサイディングは耐久性が強く、木材を使用したものは自然な材質が人気で、徐々に増えてきています。
    樹脂系サイディングは、アメリカでは広く住宅に使用されており、シーリングの補修が不要で耐天候性に優れ、塩害や寒さ、熱に強いのが特徴です。

    サイディングの劣化症状

    サイディングボードは塗り壁に比べて丈夫で長持ちする上、安くて工事が早いというメリットはありますが、劣化していくことには変わりません。

    窯業系サイディングは、吸水性のあるセメントや繊維質でできているため、表面の塗装膜が劣化してくると、雨水を吸収するようになります。
    塗膜が劣化すると湿気が内部まで浸透し、外壁内部が腐食してしまうのです。
    ひどくなると、全面張り替えも必要になります。

    一般的に7〜8年で塗膜が劣化し、湿気を吸ってサイディングボードが反り、ボードのつなぎ目のシーリングが剥がれて、水が侵入するようになります。
    建築用語では、シーリングの目地ことを「コーキング」と呼んでいて、ほとんどのサイディングでは、コーキングの劣化が大きな問題につながります。

    コーキングの剥離とは?

    サイディングボードの目地材は、年月が経ってくると、表面の塗膜が劣化してやせ細り、ヒビ割れや破断をおこして剥がれてしまいます。
    目地の「コーキングの劣化」を放っておくと、剥離したところから雨水が入ってきて外壁内部に水が溜まり、カビやシロアリが発生するおそれもあるでしょう。
    そして、住宅の基礎となる骨組み部分まで腐食してしまうと、耐震性にも問題が生じ、地震の際の倒壊リスクも高まります。

    また、コーキングの剥離を放置しておくと、サイディングボードが反り返り、ビスなどで留めてもすぐにまた反ってしまうようになります。
    コーキングがやせて劣化してきた場合は、新しくシーリング材を補充して、「打ち増し」と呼ばれる補修作業が必要になります。

    コーキング補修の「打ち増し」と「打ち替え」

    コーキングの劣化は、建物の立地や自然環境によっても異なりますが、10年を目安に点検・補修が必要です。
    サイティングボードの塗膜も10年程度で劣化してくるので、外壁の補修工事の際には、ボードのつなぎ目の「コーキングの打ち増し」が必要です。

    シーリング目地材は紫外線や熱に弱く、直射日光の当たる建物の南側や、西日の影響を受ける西側が劣化しやすい傾向にあります。

    コーキングが破断して剥離している部分は、シーリング材を補充する「打ち増し」では間に合わず、「コーキングの打ち替え」作業が必要です。
    弱ったシーリングの上に補填してもすぐにまた剥がれてくるため、古いコーキングをきれいに取り除いて、新たなコーキングを施工します。

    コーキングの劣化症状は見落としがちですが、外壁を雨水から守る重要な役割を果たしているので、特に注意してメンテナンスしていく必要があります。

    外壁塗装の劣化と補修工事

    外壁塗装は、劣化の症状に合わせて補修しなければなりません。
    傷みがどの程度進んでいるのかによっても、補修の箇所や方法が異なってきます。

    高圧洗浄・バイオ洗浄

    外壁にコケや藻が発生している場合は、外壁塗装をする前に、高圧洗浄機でコケ・藻・黒カビなどの表面の付着物を洗い落とします。
    一般的に、バイオ洗浄液を吹きかけてから、高圧洗浄機で洗い流す作業になります。

    外壁塗料の選び方

    家を長持ちさせるには、外壁を外部環境から守ることが重要ですが、そのためには、塗膜が長持ちする塗料が必要となってきます。
    外壁塗装の塗膜の劣化を防ぐ、耐候性・弾力性・遮熱性のある高品質の塗料を選ぶことで、外壁塗装を長持ちさせることができます。

    紫外線に強い塗料 フッ素などの塗料は価格が高いが、樹脂の分子レベルが高く紫外線に強い
    弾性の強い塗料 ひび割れしやすいモルタルなどの外壁には、塗料も伸縮する弾性の強い塗料を利用すると効果的
    断熱性のある塗料 断熱塗料は太陽光を反射して断熱しながら、冬は取り込んだ熱を逃がさず内部を暖かく保ち、外壁の結露を抑える効果がある

     

    優れた塗料を選ぶことで、次の補修工事までの期間も伸び、結果的にはコストパフォーマンスが良くなります。
    外壁塗装の劣化の状態をみながら、長期的にみて最も適した塗料を選びましょう。

    補修工事のタイミング

    屋根と外壁、サイディングボードのシーリング素材の劣化は、進行状態がそれぞれ異なります。
    また、屋根と外壁では適した塗料の種類も異なってきます。

    とは言え、補修工事は一度に実施する方が経済的です。
    そのため、総合的にみて、どのタイミングで補修工事を行うのが一番効果的であるのか、判断する必要があります。

    外壁塗装のお悩みは辻塗装にご相談ください

    建物には耐用年数がありますが、メンテナンスすることでその寿命を伸ばすことができます。
    しかし、適切な補修をしなければ、建物は老朽化して価値をどんどんと失ってしまうでしょう。

    住宅の耐久年数を大きく左右するのは外壁塗装で、住宅の建材を風雨や直射日光から守ります。
    外壁塗装にも種類があり耐久年数が異なるため、塗装塗膜が劣化する前に塗り替えることが大切です。

    また、現在の住宅の多くが、塗り壁ではなくサイディングボードを使用しているため、そのつなぎ目のコーキングの劣化を見逃さないようにしましょう。
    劣化症状や補修のタイミング、適切な塗料の選択など、外壁塗装の基礎知識を持つことが、住まいを長持ちさせる最初の一歩といえます。

    とは言え、外壁塗装の劣化症状や補修のタイミングは、素人では判断が難しいかもしれません。
    そこで、外壁で気になることがあるのなら、私たち辻塗装にご相談ください。

    創業36年のキャリアを持つ私たちなら、あなたの住宅の状態に合わせた最適なメンテナンスをご提案できます。
    もちろん、ご相談やお見積もりは完全無料ですので、お気軽にお問い合わせくださいね。


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